小売業を営む経営者には読んで読んで欲しい一冊
久しぶり読んだ起業家本。
創業以来わずか40年で売上高世界第1位に急成長した、小売業ウォルマート。創業者サム・ウォルトン亡き後も、成長を続けている最強の小売チェーンです。
この企業が面白いのが、一号店をたった3000人ほどの商圏で始めて成功している点です。
3000人といえば日本のコンビニでの商圏と同じですが、
創業者サム・ウォルトンは、狙ってその場所にお店を出した訳ではないらしい。
資金的な制限で大都市に出店できなかったわけですが、その後、小さい商圏でも成功できる原則(ノウハウ)につながる。
彼が得意だった方法は、仕事の中で「原則」を見つけることでした。黄色いノートに、他人には判読できない下手な文字で、いつもメモをしていました。発見した原則を、翌朝、情熱を込め、皆に話す。「こうやればうまくいく。さあ、今日から、この方法を実行しよう」
月曜日から木曜日まで、毎週欠かさず、あとには小型飛行機を操縦し、全米の新しい店舗、話題の店舗、そして自店を見る。「自分の生涯を通じてやってきたことは、ライバル店や優秀な店舗を訪問して調べ、マネジャーに話を聞き、有効なことを原則にしてマネることだった」と言います。
使命と目標が仕事に情熱を与える
他より安くすれば、同じ収入での、生活水準を上げることができる。これが生活への貢献だ。彼は「地域の2万ドル(約190万円)の収入の世帯に、その2倍の4万ドルの生活水準を提供すること」を理念に掲げていた。
目標や将来へのビジョンがないとき、成功と失敗を含めた経験は、時間を費やすものにしかならない。経験から多く学ぶ人と、時間を過ごしただけの人がいる。確固たる目標があるかないか、そこが分岐点です。
ユニクロと共通する1品目を大量売る技術
「サムは、毎週、売上報告を出させましたが『一番売れているもの』を書かないといけませんでした。『そういった商品がない』と報告すると、機嫌が悪くなるんです」と当時の従業員は言います。機嫌が悪くなるだけではなかった。早速店舗へ出かけ、「商品研究が不十分だ、私が実行する」と言って、売る方法を実際に皆に示します。
わが社を創業時から際立たせ、競争しにくい相手にした方法を明かせば、それは1品を取り上げて大量に仕入れ、大量に陳列し、大量に売ることだった
まとめ
1品目を大量に販売する方法はユニクロと共通していますが、コストコなども同様である。無駄なコストを減らしてその分を顧客に還元するのはもちろんのこと、今、勢いのある小売業は一品を売り抜く力がある企業であり、売れる一品をつくることができる企業だと思います。そこに企業の覚悟のようなものが見えなければならない。原則(プリンシプル)とは結局、情熱をもって、価値を作り出そうとしている企業の生き方であると思います。